環境保護団体のメンバーらは、噴水の中に入り「化石燃料を買わないようにしよう」と横断幕を掲げた。このような過激な活動は、「エコテロリズム」と呼称がつくほど増加している 。

イタリア・ローマの観光名所「トレビの泉」で5月21日、環境活動家ら約10人が気候変動問題などを訴え、噴水に黒い液体を流し一時騒然となった 。

噴水の中に入り、「化石燃料を買わないようにしよう」と書いた横断幕を掲げている人々は、環境保護団体「ラスト・ジェネレーション」のメンバーだ。CNNによると「我々の国は死にかけている」などと叫んでいたという 。

通常時のトレビの泉。観光客で賑わっている。

活動家らは全員、駆けつけた警官に拘束され、器物破損容疑に問われている 。

イタリアでは5月17日、北部エミリアロマーニャで大規模な洪水が発生し、14人が死亡した。ジョルジャ・メローニ首相は広島で開催されたG7サミットを切り上げ、被災地を視察している 。

活動家らは、政府が投資を続けている化石燃料が引き起こした気候変動が洪水の原因だとして、抗議運動を行なった 。

トレビの泉の水を入れ替える清掃員。5月21日撮影。

ローマのロベルト・ガルティエリ市長は次のようにツイートした 。

「 芸術的な遺産への不条理な攻撃はもうたくさんだ。今日、トレビの泉が汚された。修復の手順は複雑で高額な費用がかかるが、永久的なダメージがないことを祈る 」

活動家らが流した黒い液体は植物性の炭塗料で無害だが、泉の水を入れ替えるため30万リットルの水を捨てる必要があるという 。

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ラスト・ジェネレーションは、トレビの泉での騒動からわずか2日後にもドイツ・ベルリンで抗議運動を行なっている。旧西ドイツの政治家で第4代連邦首相、ヴィリー・ブラント氏の記念「ヴィリー・ブラント・ハウス」の外壁にオレンジの塗料をかけた 。

世界各国で、車道への座り込みなども頻繁に行なっているようだ。Twitterには活動の様子を収めた動画が投稿されている 。

    • Willy - Brandt - Haus in Warnfarbe am Tag des Grundgesetzes + + Gestern nannte der@Bundeskanzlerunseren Protest gegen seinen Verfassungsbruch „ völlig bekloppt“ . Wir finden es völlig bekloppt , pass away Lebensgrundlagen endgültig zu zerstören.pic.twitter.com/ej9wrQC5zs

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昨今、環境保護団体によるこのような過激な活動は「エコテロリズム」と呼称がつくほど増加しており、とくに芸術作品や遺産が対象になることが多い 。

2022年10月、イギリス・ロンドンの美術館ナショナル・ギャラリーで、ゴッホ作「ひまわり」にトマトスープが投げられる騒動があった 。

同年5月にはフランス・パリのルーヴル美術館で、高齢女性に扮して車椅子に座り、絵画に近づいた活動家の男性がレオナルド・ダ・ヴィンチ作「モナ・リザ」にケーキを塗りつけた 。

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