米ラッパーのカニエ・ウェスト設立の私立学校「ドンダ・アカデミー」の元教師ら2人が、不当に解雇されたとして、学校側を提訴した 。

米ラッパーのカニエ・ウェストが設立した私立学校「ドンダ・アカデミー」の元教師ら2人が4月6日、不当に解雇されたとして、カニエ氏と学校の関係者らを提訴した 。

ドンダ・アカデミーは、2022年に開校した非公認のキリスト系私立学校だ。設立者のカニエ・ウェストは最高経営責任者および最高財務責任者、事務も務めており、幼稚園入学前の未就学児から12年生(日本の高校3年生)までの生徒が在籍している。訴えを起こしたセシリア・ヘイリーさんとチェカレー・バイヤースさんは2023年1月から3月まで、同学校でそれぞれ3年生と5年生の担当を受け持っていた。しかし3月3日、正当な理由もなく解雇されたという。ヘイリーさんとバイヤースさんは訴状で、解雇はカリフォルニア州の労働法に違反していると主張している 。

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訴状によると、学校側は「昼食は寿司のみを提供する」など独自のルールを生徒に課していたという。ヘイリーさんとバイヤースさんは、アカデミー内の奇妙なルールやずさんな学校運営の実態が他にもある、と主張している。例えば、「ウェストは『階段恐怖症』のため、授業は1階で行う」「生徒はフォークを使ってはならず、食器は灰色でなければならない」といった独自のルールが生徒に強要されていたと話す。加えて、学校側は、職員に対してBLS(一次救命措置)認定を義務化しないなど、米国教育省の課す要件や州の規制を一部守っていなかったと訴えた 。

解雇される前に2人は、運営が教師や生徒の健康や安全を脅かしていると、学校側に苦情を伝えていた。しかし、苦情は聞き入れられることなく、ドンダ・アカデミーのモイラ・ラブ校長に「攻撃的だ」と呼ばれたという。2人は、苦情を申し立てた報復として解雇されたと考えている 。

また、ヘイリーさんとバイヤースさんは、彼女たち以外に黒人の教師がいなかったといい、人種差別があったと主張している。報道発表でヘイリーさんは、「『能力のある黒人女性は攻撃的』というレッテルを貼られるのはもう嫌です」と述べた 。

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ヘイリーさんとバイヤースさんの代理人弁護士は、次のような声明文を出した 。

「 カニエ・ウェスト氏は、学校の経営に向いていません。学校では、違法で危険なことが起こっています」「人種差別すらも起こっているような状況です。学校で起こっているひどい暴力は、カニエ氏の異常な行動を表しています」「カニエ氏が有名人であるかどうかは関係ありません。彼の行動を支持するわけにはいかないのです。彼は学校経営ではなく、音楽制作で自身の能力を発揮すべきです 」

バイヤースさんは、複雑な心中をこう語っている。「今回の出来事に、私は本当にがっかりしています。カニエ氏のためにドンダ・アカデミーで働くのは、本当に光栄なことでした。私は彼の大ファンだからです」「私が初めて買ったアルバムは、カニエ氏のファーストアルバムでした。今でも彼の音楽が大好きだし、才能は素晴らしいと思っています」「カニエ氏の描く学校のビジョンは、一見素晴らしいもののように思えまた。しかし実際は、秩序のない、暴力的なものだったんです 」

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この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:筒井華子

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